信州最速理論

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ドーピングを防ごう

 

ドーピングというと、一部のアスリートにしか関係がないと思われがちだが、実はそうでもない。

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最近では、国体やサッカーの天皇杯をはじめとして、北海道マラソン福岡国際マラソン別府大分毎日マラソン東京マラソンびわ湖毎日マラソン名古屋ウィメンズマラソンぎふ清流ハーフマラソン兵庫リレーカーニバルなどドーピング検査は一般のレベルにまで広がっている。


日本でのドーピング違反は、ほとんどが不適正な薬であることを知らずに使用してしまう『うっかりドーピング』と言われるものだ。

この場合でも記録抹消・出場停止といった厳しい処分を下される可能性がある。


禁止されている物質や方法は毎年見直しがされているので、使用する薬に禁止物質が含まれているかをどうか把握しているアスリートはほとんどいないだろう。
 
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薬剤師ですら、どの薬が禁止物質かを把握している人は少ない。

しかし、薬物服用の原則では最終的な責任はアスリート自身にある。
つまり、知らなかったでは済まされないというわけだ。


かの有名な哲学者のソクラテスも『無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり』と言っている。知らなかったことで損をしたり、失敗をしたり、他人を傷つけることがあるのは事実だ。

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信州最速プロジェクトでは、身近に起こりうるドーピングを事前に防ぐことで、スポーツの理念や価値、そしてアスリート自身を守りたいと思っている。


さて、ドーピング違反を減らすためには、『うっかりドーピングを無くすことが重要だ。


禁止物質にはたくさんの種類がある。
 
本当なら全ての禁止物質を紹介したいところだが、今回は一般的に入手が難しいものは除外したいと思う。
 
これは、入手が難しいものなら使っていいという意味ではなく、病院等にかかって発行される処方箋に基づいた医薬品は治療のために適切な薬が使用されているため、中には当然ながら禁止薬物も含まれていることがある。こういうものを挙げてもキリがないということと、こういう場合は『うっかり』の範疇を超えているからだ。
 

今回は、ドラッグストア等で自己判断で買える医薬品、食品等について紹介したいと思う。


かぜ薬
 
ドラッグストアで売っている一般用のかぜ薬には気をつけなければならない。『かぜ薬=ドーピングに引っ掛かる』という方程式は意外にも当たっている。
なぜなら、たいていのかぜ薬には、エフェドリン、メチルエフェドリンが含まれているからだ。
エフェドリンは中枢神経興奮作用があり血流を増加させるため禁止となっている。
どうして、こんなものがかぜ薬に入っているのかと思うが、エフェドリンは気管支にあるβ受容体を刺激して気管を広げる作用や血管を収縮させる作用があるため鼻づまりに効果があるからだ。
 
 
 

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尿中濃度10μg/ml以上だとアウトなので気をつけたい。
 
また、かぜ薬で有名な葛根湯麻黄湯には麻黄という生薬が含まれているが、麻黄(そもそも学名はエフェドラという)にはエフェドリンが含まれているため同様に注意が必要だ。
 
 


 

2 便秘治療薬
 
女性用の便秘治療薬にも注意が必要だ。
カタカナでカモフラージュされているが『新コッコアポA錠・S錠』は実は防風通聖散という漢方薬で、禁止物質である麻黄エフェドリンを含んでいる。
 
 
防風通聖散は、皮下脂肪の分解を目的に「ナイシトール85」「ココスリム」といった製品名でも販売しているので覚えておきたい。


3 胃腸薬
 
胃腸薬にも禁止物質が含まれているものがある。わりとレアだが生薬の馬銭子(ホミカが含まれているものは、禁止物質のストリキニーネが含まれるためアウトだ。
 
ストリキニーネには中枢神経興奮作用がある。
 
馬銭子は古くから毒矢や薬として用いられてきた歴史があり猛毒だが、ごく少量なら胃腸機能促進作用がある。
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ワクナガ胃腸薬Gに含まれているので、レース前は気をつけたい。
 
 
 
4 滋養強壮薬
 
滋養強壮薬には、禁止物質の蛋白同化薬(テストステロン)が含まれているものがある。
 
 

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蛋白の同化とは、タンパク質を作らせることを意味する。つまり、筋肉増強剤としての働きをする。これは普段から気をつけておきたい。
生薬成分の海狗腎(カイクジン)麝香(ジャコウ)も併せて気をつけたい。
 
 

オットセイは気をつけよう。
 
 
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子ども用の市販薬にも、禁止物質が含まれていることがある。
 
 
 
5 眉毛の育毛剤
 
昔から、眉毛が薄いのがコンプレックス。でも書くのは不自然だから自前の眉毛が欲しい。
 

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そんな人は要注意だ。
 
眉毛の育毛剤「ミクロゲンパスタ」は男性ホルモンが配合されているため、禁止されている。
 
 
眉毛はやっぱり書こう。
 
 


 
6 喘息・咳止め
 
喘息の治療や風邪をひいてせきがひどいとき等に使われることがあるのがβ2作動薬だ。気管を広げて呼吸を楽にしてくれる。
せきが出るときに背中に貼る薬を使ったことがある人もいるだろう。
 

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 β2刺激薬には闘争性を高める交感神経興奮作用や筋肉増強作用があるため、禁止物質となっているので気をつけたい。
 
貼り薬の他に、飲み薬もある。
トリメトキノールメトキシフェナミンが含まれているものは気をつけよう。
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7 成長因子
 
成長因子として筋肉増強作用をもつ成長ホルモンも禁止されている。
IGF-1(インスリン様成長因子)は成長促進作用とインスリン様作用がある。
実は栄養ドリンクのタウリンがいいのは、このIGF-1が増えるからだと言う説がある。
しかし、IGF-1は元々体内にある物質のため、検査による検出が難しいとも言われている。
 
ちなみにIGF-1は海外製のサプリメントがある。
 
 
 
 
 
興奮薬として禁止されているメチルヘキサンアミンは「ゼラニウム油」や「ゼラニウム根エキス」などと表記されてサプリメントに含まれていることがあるので要注意だ。
 

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ちなみに世界のkitchenの晴れ茶にはゼラニウムが含まれているが、ドーピングには引っ掛からないようなので安心して飲んで欲しい。
 
 
 
最後に…
 
私もかつてドーピング検査を受けたことがある。ゴールした後、係員に連れて行かれるのだが、検査を拒否することはできない。
 
 
また、検査結果が出るまでに3週間~4週間かかり、陽性が出ると連絡がくるらしいが、この3週間がやたらと長い。(もちろん私は陰性だったので連絡はこなかった)
 
 
うっかりドーピングは日頃からこういった知識をつけておくことで防ぐことができるので、自分自身を守るためにも覚えておこう。
 
 
うっかりしているのは、うっかり八兵衛だけで十分だ。
 

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「ご隠居、腹減ったぁ!」